育児休業の連絡を受けたら、決まった日付が一気に何本も走り出す。産前産後の日付、育休の開始、申出の期限、保険料免除の届出。
起点は出産予定日1つだけだ。そこから全部が式で出る。出産予定日を2026年12月10日として計算した。
以下の要件は、2026年9月21日に厚生労働省の育児休業制度特設サイトと日本年金機構の免除の手続きのページで確かめた。計算はMicrosoft 365のExcel(バージョン16)で行った。個別の判断は所轄の労働基準監督署と年金事務所に確認してほしい。
出産予定日を1つ入れると、期限が全部出る
必要なセルは2つ。出産予定日と、生まれたあとに入れる実際の出産日だ。
産前休業は予定日から逆算する。産後休業と育休は実際の出産日から数えるので、生まれるまでは予定日を仮に入れておく。
産前休業を始められる日: =出産予定日-41
産後休業の開始: =実際の出産日+1
産後休業の終了: =実際の出産日+56
育児休業の開始: =実際の出産日+57
子の1歳の誕生日: =EDATE(実際の出産日,12)
1歳までの育休の終了: =EDATE(実際の出産日,12)-1
12月10日の出産で計算すると、産前休業は10月30日から、産後休業は12月11日から2027年2月4日まで、育児休業は2月5日からになる。1歳の誕生日は2027年12月10日なので、育休は前日の12月9日までだ。
産後休業の8週は出産日の翌日から数える。出産日そのものは産前休業の側に入る。+56と+57の1日の違いがここで効く。
申出は開始の1か月前、産後パパ育休は2週間前
厚生労働省のページには、休業開始予定日の1か月前まで、1歳以降の育児休業については2週間前までに、書面等により事業主に申出と書かれている。
2月5日開始なら、申出の期限は1月5日になる。
=EDATE(育休の開始,-1)
産後パパ育休は別の期限だ。取得しようとする日の2週間前までになる。出生予定日から取る場合、11月26日が期限になる。
=出産予定日-14
労使協定で申出の期限を2週間超から1か月にしている職場もある。自社の協定を先に見る。協定がないなら2週間前だ。
1歳以降に延長する場合の申出も2週間前になる。2027年12月10日から延長するなら、11月26日が期限だ。
申出を受けたら、速やかに書面で通知する
事務の側の義務がここにある。厚生労働省のページには、事業主は育児休業の申出がなされた時は、育児休業開始予定日及び育児休業終了予定日等を労働者に速やかに書面等で通知しなければならないと書かれている。
期日が「速やかに」なので、自分で日を決める。申出を受けた日から3営業日以内、といった形で内規にしておくと動きやすい。
通知に書くのは開始予定日と終了予定日だ。申出書を受け取っただけで終わらせると、この通知が抜ける。受付の記録と通知の記録を1行にまとめて持つ。
同じ月に始まって終わるなら、14日以上で免除
社会保険料の免除には届出が要る。日本年金機構のページによると、健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書を、育児休業等期間中または育児休業等終了後の終了日から起算して1か月以内に出す。
免除される期間の考え方はこうなっている。毎月の報酬については、育児休業等を開始した日の属する月から、育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月まで。
ここに例外がある。開始月と終了月が同じ場合でも、開始日の属する月に14日以上育児休業等を取得した場合は免除となる。令和4年10月1日以降に開始した育児休業等に限る、と注記されている。
3つの例で計算した。
| 育休の期間 | 日数 | 判定 |
|---|---|---|
| 6月10日から6月25日 | 16日 | 免除 |
| 6月20日から6月28日 | 9日 | 免除なし |
| 6月18日から7月2日 | 15日 | 月をまたぐので別の判定 |
=IF(EOMONTH(開始,0)=EOMONTH(終了,0),IF(日数>=14,"免除","免除なし"),"月をまたぐ")
EOMONTHで開始と終了の月末日を比べ、同じなら同一月内と判定する。同一月内なら日数で分け、月をまたぐなら元の原則で計算する。
短い育休が増えているので、この判定を持っていないと毎回調べることになる。
賞与はちょうど1か月では免除されない
賞与の保険料は別の条件になる。年金機構のページには、令和4年10月1日以降に開始した育児休業等では、当該賞与月の末日を含んだ連続した1か月を超える育児休業等を取得した場合に限り免除となる、と書かれている。
条件が2つある。賞与を支給した月の末日を含むことと、1か月を超えること。
12月10日に賞与を支給した場合で計算した。
11月20日から12月25日までの育休は36日あるが、12月31日を含まないので免除なし。11月20日から翌年1月5日までは47日で、12月31日を含むので免除になる。
引っかかるのは3つ目だ。12月1日から12月31日までの育休は31日ある。12月31日も含む。それでも免除にならない。
=IF(AND(開始<=EOMONTH(賞与月,0),終了>=EOMONTH(賞与月,0),
終了>EDATE(開始,1)-1),"免除","免除なし")
12月1日から1か月は12月31日までなので、12月31日で終わる育休は「1か月」であって「1か月を超える」ではない。1日足りない。
日数で31日あるから大丈夫だと考えると間違える。月の長さではなく、開始日から1か月後を超えるかで判定する。賞与の保険料そのものの計算は賞与支払届の記事に書いた。
届出の期限は終了後1か月
免除の届出は、育休の期間中でも、終了後でも出せる。期限は終了日から起算して1か月以内だ。
2027年12月9日に終わる育休なら、2028年1月9日が期限になる。
=EDATE(育休の終了日,1)
この日が日曜だった。期限が休日のときの扱いは確認していないので、前の営業日までに出しておくほうが確実だ。
育休中に期間が延びたときは、そのたびに届出を出し直す。1歳から1歳6か月へ、1歳6か月から2歳へという延長は、それぞれ別の届になる。
定時決定との関係も出てくる。育休中の人が算定基礎届の対象になるかは、7月1日時点の在籍で決まる。対象者の絞り方は算定基礎届の記事に書いた。
1人1行で持つ表の列
育休は1人あたり1年以上続く。途中で延長も入る。人ごとに1行の表にして、日付の列だけ埋めていく形にすると追える。
入力するのは、氏名、出産予定日、実際の出産日、申出を受けた日、通知した日、届出を出した日の6つ。ここまでが手入力になる。
残りは式で出る。産前休業の開始、産後休業の開始と終了、育休の開始、申出の期限、1歳の誕生日、育休の終了、届出の期限。8つの日付が出産日から自動で埋まる。
判定の列を2つ足す。申出の期限に間に合ったか、通知が3営業日以内だったか。
申出: =IF(申出を受けた日<=申出の期限,"間に合った","遅れ")
通知: =IF(通知した日<=WORKDAY(申出を受けた日,3),"間に合った","遅れ")
遅れが出ても手続きが無効になるわけではないが、次の人のときに同じことが起きる。数字で残しておくと、どこで詰まったかが分かる。
延長が入ったら行を足さずに、終了日の列を書き換えて、届出の期限を出し直す。行を増やすと、同じ人が2行になって集計が合わなくなる。
踏んだ失敗
産後休業の終了日を出産日から56日で計算したことがある。正しくは翌日から8週なので、出産日+56が終了日だ。開始が+1になる。1日ずれたまま育休の開始日を本人に伝えて、訂正した。
賞与の免除を日数で判定していたこともある。31日あるから1か月を超えていると考えた。開始日から1か月後の日付と比べる形に直した。上の3つ目の例がこれにあたる。
申出を受けた日の記録を残していなかったこともある。通知が遅れたかどうかを、あとから確かめられなかった。受付日、通知日、届出日を1行に並べる表を作った。期限の管理を一覧にする考え方は退職者が出たときの記事と同じで、起点の日付から全部を逆算する。
免除の届出を終了後に出そうとして、期間中に出せることを知らなかった年もある。1年近く保険料を払い続けて、あとで還付を受けた。期間中に出せば、その月から控除しないで済む。
確認していないこと
雇用保険の育児休業給付金の手続きは扱っていない。支給申請の期限や単位期間の数え方は、ハローワークの案内で確認してほしい。
介護休業のほうも今回は扱っていない。申出の期限と回数の上限が育児休業とは別に定められている。
2025年に施行された改正の内容も確認していない。子の看護等休暇や、残業免除の対象の拡大があると聞いているが、条文で確かめていない。
有期雇用の人の要件も確認していない。育児休業を取得できる条件が別にあるので、該当する人がいたら所轄に聞く。
免除の届出の期限が休日に当たったときの扱いも確認していない。上の例では2028年1月9日が日曜だった。
出典(2026年9月21日確認): 厚生労働省「育児休業」育児休業制度特設サイト、日本年金機構「従業員が育児休業等を取得・延長したときの手続き」。



