有給休暇の付与日数と年5日の時季指定義務。入社日から基準日と期限を式で出す

2026-09-21仕事の型

年10日以上の有給が付与される人には、基準日から1年以内に5日取らせる義務がある。基準日は人ごとに違うので、期限も人ごとに違う。

一覧にしないと追えない。10人分をExcelで計算したら、対象が6人、まだ5日に届いていない人が4人、そのうち期限まで90日を切っている人が2人出た。

以下の日数と要件は、2026年9月21日に厚生労働省の「確かめよう労働条件」と時季指定義務のリーフレット、大阪労働局のページで確かめた。計算はMicrosoft 365のExcel(バージョン16)で行った。個別の判断は所轄の労働基準監督署か社会保険労務士に確認してほしい。

付与日数は勤続年数で決まる

要件は2つだ。雇入れの日から起算して6か月間継続勤務すること、全労働日の8割以上出勤すること。これを満たすと10日が付与される。

その後は1年ごとに増える。厚生労働省のページの表はこうなっている。

継続勤務 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月
付与日数 10 11 12 14 16 18 20

6年6か月で20日になり、そこで止まる。リーフレットにも継続勤務6年6か月で年20日が限度と書かれている。

有給の時効は2年だ。使わなかった分はその年度で消えるのではなく、翌年に繰り越せる。

週4日の人は、勤続3年6か月から対象に入る

所定労働日数の少ない人は比例付与になる。ここが見落としやすい。

週の日数 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月
週4日 7 8 9 10 12 13 15
週3日 5 6 6 8 9 10 11
週2日 3 4 4 5 6 6 7
週1日 1 2 2 2 3 3 3

時季指定義務の対象は、10日以上付与される人に限られる。表を見ると、週4日の人は勤続3年6か月でちょうど10日になる。その年から義務の対象に入る。

週3日の人は5年6か月で10日に届く。週2日と週1日は、どこまで続けても10日に届かない。

パートだから対象外、という覚え方をしていると間違える。週の日数と勤続年数の組み合わせで決まる。リーフレットには、対象者は年次有給休暇が10日以上付与される労働者に限る、管理監督者を含む、と書かれている。管理職も対象だ。

基準日は入社日の6か月後

リーフレットの例はこうなっている。4月1日に入社した人は、10月1日に10日が付与される。この10月1日が基準日だ。そして10月1日から翌年9月30日までの1年間に、5日について取得時季を指定しなければならない。

式にすると2本で足りる。

基準日:   =EDATE(入社日,6)
今の基準日: =EDATE(基準日,12*INT(DATEDIF(基準日,TODAY(),"m")/12))
期限:     =EDATE(今の基準日,12)-1

EDATEは月単位で日付を動かす関数だ。1月31日入社なら7月31日、8月31日入社なら翌年2月28日というように、月末も処理してくれる。

2本目は、今が何年目の期間かを出している。入社から何か月たったかを12で割って、その回数だけ基準日を進める。

4月1日入社で試したら、基準日が10月1日、期限が9月30日と出た。リーフレットの例と一致する。

10人分を一覧にする

列は、氏名、入社日、週の所定日数、取得日数、基準日、勤続年数、付与日数、対象かどうか、期限、残り必要日数、期限までの日数。

対象:     =IF(付与日数>=10,"対象","対象外")
残り必要: =IF(対象="対象",MAX(0,5-取得日数),"")
期限まで: =IF(対象="対象",期限-TODAY(),"")

10人で計算した結果がこうなった。基準日は2026年9月21日時点のものだ。

2019年4月1日入社の人は、基準日が2025年10月1日で付与20日、期限が2026年9月30日。取得が3日なので残り2日、期限まで9日しかない。

2018年6月1日入社の人は、基準日が2025年12月1日で期限が2026年11月30日。残り1日で、期限まで70日ある。

週4日で勤続2年6か月の人は付与9日なので対象外。1年たって勤続3年6か月になると10日になり、その年から対象に入る。週3日で勤続3年6か月の人は8日で、まだ対象外だ。

集計するとこうなる。

対象者:   =COUNTIF($対象,"対象")
残りあり: =COUNTIFS($残り必要,">0")
危ない人: =COUNTIFS($期限まで,"<=90",$残り必要,">0")

対象が6人、残りがある人が4人、期限まで90日以内で残りがある人が2人だった。毎月この3つの数字だけ見ていれば足りる。

5日から引けるもの

リーフレットには、本人が自分から申し出て取得した日数と、労使協定で取得時季を定めて与えた日数は5日から控除する、と書かれている。

つまり、普通に休んでいる人には何もしなくていい。5日以上取得済みの労働者に対しては、使用者による時季指定は不要とも明記されている。

義務が残るのは、取得が少ない人だけだ。上の一覧でいえば、残り必要日数が0より大きい4人になる。全員に一律で日を指定する必要はない。

指定するときは、本人の意見を聴取して尊重するよう努めなければならない、とも書かれている。一方的に日を決めるのではなく、希望を聞いてから決める。

声をかける時期を、日数で3段階に分ける

期限の直前に慌てるのは、見るタイミングを決めていないからだ。残りの日数と期限までの日数で、動き方を分けておく。

=IF(残り必要=0,"",IF(期限まで<=30,"日を指定する",
  IF(期限まで<=90,"希望を聞く",IF(期限まで<=180,"知らせる",""))))

期限まで180日を切ったら、本人に残りの日数を知らせる。90日を切ったら希望の日を聞く。30日を切ったら、意見を聴いたうえで日を指定する。

この列を作っておくと、毎月の確認が1列を見るだけで済む。上の10人では、知らせる段階の人と希望を聞く段階の人が混ざっていた。

30日を切ってから動くと、本人の都合と業務の繁忙が重なって決まらない。180日の時点で一度知らせておくと、本人が自分で取る。使用者が指定する手間そのものが減る。

管理簿は3年保存

リーフレットには、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければならない、と書かれている。

上の一覧に、取得した日付の列を足せば管理簿になる。時季、日数、基準日が記録されていればいい。

Excelで持つなら、人ごとに1行の一覧と、取得の実績を1行1件で記録する表の2枚に分ける。一覧の取得日数はCOUNTIFSで実績から拾う。

=COUNTIFS($実績氏名,$氏名,$実績日付,">="&基準日,$実績日付,"<"&EDATE(基準日,12))

基準日の期間で区切るのが要点になる。年度で区切ると、基準日が人ごとに違うので合わなくなる。

踏んだ失敗

年度で管理していたことがある。4月から翌3月で5日取れているかを見ていた。基準日が10月の人は、期間がずれているので判定が合わない。基準日で区切る形に作り直した。

パートは対象外だと思い込んでいたこともある。週4日で長く働いている人が10日を超えていた。週の日数だけで判断すると間違える。勤続年数と組み合わせた表で毎回見る。

管理職を数えていなかったこともある。リーフレットに管理監督者を含むと明記されている。勤怠の集計から外れている人ほど、取得の記録も残っていない。

期限の3か月前に気づいたこともある。残り4日で、営業日が限られていた。本人にも都合がある。今は期限まで90日を切った時点で一覧に出すようにした。月ごとの確認に組み込む形は月次の締めの記事と同じで、第何営業日に見るかを決めておく。

確認していないこと

入社日から前倒しで付与する場合と、全社で基準日をそろえる場合の扱いは、リーフレットの裏面に記載があるが今回は読み切れていない。上の式は法定の基準日で計算している。

出勤率が8割に届かなかった年の扱いも確認していない。要件を満たさない年は付与されないが、翌年の勤続年数の数え方は所轄に確認してほしい。

半日単位と時間単位の取得が5日にどう算入されるかも確認していない。リーフレットには半日または1日単位の休暇が対象という記載を見かけたが、条件を読み切れていない。

罰則の内容も、今回読んだ範囲では確認できなかった。違反に罰金があるという記載は見たが、条文で確かめていない。

労働時間そのものの集計は残業の割増の記事に分けて書いた。社会保険の加入要件と合わせて見る必要がある人については賃金要件が外れる記事がある。

出典(2026年9月21日確認): 厚生労働省「確かめよう労働条件」年次有給休暇、厚生労働省「年次有給休暇の時季指定義務」のリーフレット、大阪労働局「年次有給休暇について」。

有給休暇時季指定義務労務勤怠管理労働基準法