電話とメールの記録の型。言った言わないを防ぐ残し方と、あとで探せる列の作り方

2026-09-20仕事の型

言った言わないになったとき、効く記録と効かない記録がある。分かれ目は書いた量ではない。相手も同じものを見ているかどうかと、半年後に探し出せるかどうかだ。

自分のノートに丁寧に書いても、相手は見ていない。あとから書き足せるので、出したところで水掛け論が続く。電話を切って5分で1通送るほうが早い。

以下の式と件数は、2026年9月20日にMicrosoft 365のExcel(バージョン16)で計算した。300件の記録は式を確かめるために作った架空のものだ。法律上の扱いは扱っていない。

片方だけのメモは弱い

自分の手元のメモには、時刻が固定されていないという弱点がある。いつ書いたか、あとから直したかが分からない。相手からすれば、あなたが都合よく書いたものに見える。

送信済みのメールは違う。送った時刻が残り、同じ文面が相手の受信箱にもある。片方だけでは書き換えられない。返信が来れば、相手が内容を読んだうえで受け取ったことまで残る。

だから、記録の強さを上げる一番安い方法は、電話のあとに1通送ることだ。清書は要らない。

電話のあとに送る4行

型を決めておくと、5分もかからない。

本日はお電話ありがとうございました。うかがった内容を念のため残します。

・決めたこと: 請求書を9月30日付で再発行し、郵送する
・期限: 9月25日までにこちらから発送
・次の連絡: 到着後に着荷のご連絡をいただく

認識違いがありましたらご指摘ください。

書くのは3つだけだ。決めたこと、期限、次に誰が何をするか。感想も経緯も要らない。最後の1行があると、違っていたときに相手から訂正が来る。訂正が来たら、それも記録になる。

返信が来なくても構わない。送った事実と時刻が残るので、片方だけのメモよりは強い。

残す項目は8つでいい

記録の表は列を増やすほど埋まらなくなる。8つに絞った。

入れるもの
日付 日付として入れる。文字で打たない
時刻 時刻として入れる
手段 電話の受け、電話の掛け、メールの3つ
相手 会社名。担当者名は用件に書く
担当者 自分の側の対応者
用件 ひとことで何の話か
決めたこと 誰が何をするか
期限 日付として入れる

要は決めたことと期限だ。用件だけ書いた記録は、あとで読んでも何も分からない。請求について、とだけ書いた行は、半年後に見ても使えない。

状態と確認メールの2列を足しておくと、未処理の抽出に使える。状態は済と未、確認メールは送ったかどうかを入れる。

時刻を文字で打つと、絞り込みが0件になる

ここでつまずく人が多いので、300件で実際に試した。

時刻を時刻の形式で入れた列に対して、午前の件数を数える式をかけた。

=COUNTIFS($B$2:$B$301,"<"&TIME(12,0,0))

107件だった。同じ時刻を9時15分のような文字で持たせた列に、まったく同じ式をかけると0件になる。文字と数値は比較の土俵が違うので、1件も引っかからない。

0件という結果はエラーではない。だから気づかない。記録のほうが漏れているのだと思い込んで、フォルダや受信箱を探し回ることになる。

すでに文字で入ってしまっている表は、作業列で直せる。

=IFERROR(TIMEVALUE(ASC(P2)),"")

ASCは全角の数字を半角に直す。これを通してから同じ式で数えたら、107件に戻った。時刻型の列と一致する。日付の列も同じで、2026年9月7日と文字で打つと期間で絞れなくなる。

300件から1件を出す

探せる形になっていれば、相手と期間で絞るのは式1本だ。

=COUNTIFS($D$2:$D$301,"霞商店",$A$2:$A$301,">="&DATE(2026,9,7),
          $A$2:$A$301,"<="&DATE(2026,9,13))

25件。ここまで絞れれば、あとは目で追える。日付順のノートでは、相手の名前で引くことができない。ページをめくって探すしかなく、9月のどこかだったという記憶が頼りになる。

同じ表から、放っておくと問題になる件も拾える。300件で数えた結果がこれだ。

見るもの 件数
状態が未で、期限が過ぎている 44
相手か用件か決めたことが空 78
確認メールを送っていない 99
状態が未で、期限が空 45

期限が空のまま未になっている45件がいちばん危ない。いつまでにやるかが決まっていないので、誰も動かない。記録を取る目的は残すことではなく、この45件を見つけることのほうにある。

社名の書き方がぶれると、18件が消えた

絞り込みが効かなくなるもう1つの原因が、相手の名前の表記だ。これも同じ300件で試した。

霞商店の記録は58件あった。そのうち18件だけを株式会社霞商店と書き換えて、完全一致で数え直す。

=COUNTIF($D$2:$D$301,"霞商店")

40件になった。18件が消えている。表記を変えただけで、同じ取引先の記録が2つに割れる。

その場をしのぐなら、前後に*を付けて部分一致にする。

=COUNTIF($D$2:$D$301,"*霞商店*")

これで58件が戻った。ただ、これは対症療法だ。根本を直すなら、相手の列を手で打たない形にする。

入力規則のリストで、取引先の一覧から選ぶようにしておく。手段の列も、電話の受け、電話の掛け、メールの3つから選ぶ。状態も済と未の2つだけ。選ぶ形にすると打鍵が減り、ゆれも起きない。記録を取るのが面倒で続かない、という問題も一緒に減る。

新しい取引先が増えたときだけ、一覧に足す。この一手間を惜しむと、半年後に数字が合わなくなる。

メールは全部を記録表に載せない

メールはそれ自体が記録なので、書き写す必要はない。問題は、受信箱の中では探せないことのほうにある。

記録表に行を足すのは、決めたことがあったメールだけでいい。見積を出した、納期を確定した、金額を変更した、という類だ。連絡のやりとりを全部載せると、表が埋まって肝心の行が埋もれる。

載せるときは、決めたことと期限の列だけ書いて、用件の列にメールの件名をそのまま入れる。件名で受信箱を検索すれば本文にたどり着けるので、本文を写す必要がない。

そのために、こちらから出すメールの件名は具体的にする。ご連絡、お世話になっております、という件名を付けると、あとで自分が探せなくなる。件名に取引先名と用件と日付を入れておくと、記録表とメールの両方から引ける。

折り返しの期限を式で見張る

超過の判定は1本で書ける。

=IF(AND(I2="未",H2<>"",H2<TODAY()),"超過","")

H2<>""を入れておかないと、期限が空の行が全部超過になる。空のセルは0として比較されるからだ。空欄は超過ではなく、期限の入れ忘れとして別に数える。

この列を作っておけば、朝に表を開いて超過の行だけ見れば済む。月次の作業に組み込む形は月次の締めの記事の考え方と同じで、いつ見るかを決めておく。

踏んだ失敗

ノートに日付順で書いていた時期がある。3か月後に、ある取引先との話がいつだったか探すことになり、ページをめくって1時間かかった。結局見つからず、相手の言い分で進めた。日付でしか引けない記録は、相手で引きたいときに使えない。

用件だけ書いて、決めたことを書かなかったこともある。仕様の確認、とだけ残っていて、どちらがどう直すことになったのか分からなくなった。電話中は覚えているので、書かなくていい気がする。消える。3日もあれば十分だ。

確認のメールを送らずに進めて、期限の認識が1週間ずれたこともある。こちらは月末と聞いたつもりで、相手は第3週のつもりだった。4行送っていれば、その日のうちに食い違いが出ていた。

記録の置き場所を人ごとに分けていたのも失敗だった。担当が変わったときに引き継げない。引き継ぎのときに何を渡すかは引き継ぎ書の記事に書いた。記録は個人のものではなく、席のものにする。

確認していないこと

記録が争いになったときにどこまで証拠として働くかは確認していない。ここで書いたのは、あとで自分が困らないための残し方だ。法的な扱いは弁護士に確認してほしい。

通話の録音は扱っていない。相手への告知や社内の規程が関わるので、導入する前に自分の職場の決まりを見る。

メールの保存そのものの要件も別の話になる。取引に関するデータの保存は電子取引データの記事に書いた。ここでの記録表は、そちらとは別に持つ索引だ。

上の300件は式を確かめるために作った架空のもので、件数の割合に意味はない。式をそのまま自分の表に当てて、自分の数字を見てほしい。

記録電話応対メール証跡仕事の型