健康診断の実施義務と記録。対象になるパートの線引きと、深夜業の年2回

2026-09-21仕事の型

健康診断でつまずくのは2か所だ。パートのどこまでが対象になるかと、年1回でいい人と年2回必要な人の区別。

10人分の期限をExcelで出したら、義務の人が6人、実施が望ましい人が3人。そして1人が期限を75日超えていた。超えていたのは深夜業を含む業務の人で、6か月ごとに必要なところを年1回のつもりでいた。

以下の種類と時期は、2026年9月21日に厚生労働省のリーフレットと新潟労働局の資料で確かめた。計算はMicrosoft 365のExcel(バージョン16)で行った。個別の判断は所轄の労働基準監督署に確認してほしい。

5種類あって、実施時期が違う

厚生労働省のリーフレットには、事業者に実施が義務づけられている健康診断が並んでいる。

雇入時の健康診断は、常時使用する労働者を雇い入れの際に行う。定期健康診断は、常時使用する労働者に1年以内ごとに1回。特定業務従事者の健康診断は、該当する業務への配置替えの際と、6月以内ごとに1回。

ほかに、海外に6か月以上派遣する労働者の健康診断と、事業に附属する食堂または炊事場で給食の業務に従事する労働者の検便がある。

定期健康診断の対象からは、特定業務従事者が除かれている。つまり、該当する人は年1回ではなく年2回の側に移る。

パートは正社員の4分の3が境目

新潟労働局の資料には、正社員の週所定労働時間の4分の3以上働くパートタイム労働者に対しては健康診断を実施する義務がある、と書かれている。

そして、正社員の週所定労働時間の2分の1以上4分の3未満で働く人については、健康診断の実施が望ましいとされている、と書かれている。義務ではないが推奨されるという中間の帯がある。

判定は割合を出すだけで済む。

割合: =ROUND(週所定時間/$正社員の週所定時間,3)
区分: =IF(割合>=0.75,"義務",IF(割合>=0.5,"望ましい","対象外"))

正社員が週40時間なら、30時間で義務、20時間から30時間未満が望ましいの帯になる。週28時間の人は0.700なので望ましい側だ。30時間と28時間では2時間しか違わないが、義務かどうかが変わる。

契約の期間も条件に入る。1年以上の契約か、期間の定めがないか、すでに1年以上引き続き雇用している実績があることが要る。契約が6か月の人は、この条件で外れる。

=IF(AND(契約月数>0,契約月数<12),"対象外(契約1年未満)",区分の判定)

深夜業を含む業務は6か月ごと

見落としの本命がここだ。特定業務従事者の一覧に「深夜業を含む業務」が入っている。

リーフレットの一覧には、多量の高熱物体を取り扱う業務、著しく寒冷な場所における業務、有害放射線にさらされる業務などと並んで、坑内における業務と深夜業を含む業務が挙げられている。

製造や建設の特殊な業務だけを想像していると外す。夜勤のあるシフトを組んでいる職場なら、この項目に当たる人がいる。小売でも介護でも警備でも同じだ。

頻度の判定は1本で書ける。

=IF(区分="義務",IF(深夜業="あり",6,12),"")

この6と12が、次の期限を出す式に入る。

次回の期限: =IF(OR(頻度="",前回実施日=""),"",EDATE(前回実施日,頻度))
期限まで:   =IF(次回の期限="","",次回の期限-TODAY())

EDATEは月単位で日付を動かすので、6か月後と12か月後の両方をこの1本で出せる。

期限を一覧にしたら、1人が75日超えていた

10人で計算した。義務が6人、望ましいが3人、契約1年未満で対象外が1人。

期限を過ぎていたのが1人いた。深夜業ありで1月8日に受けているので、次は7月8日が期限になる。9月21日の時点で75日超過していた。

年1回だと思っていると、この人は毎年少しずつ遅れていく。1月に受けて翌年1月に受ければ年1回は守れているように見えるが、7月の分が抜けている。

期限まで60日以内の人が3人いた。あと24日、29日、45日という状態だ。健診機関の予約は埋まりやすいので、60日を切った時点で動き出す。

期限切れ:     =COUNTIFS($期限までの列,"<0")
60日以内:     =COUNTIFS($期限までの列,">=0",$期限までの列,"<=60")
未実施:       =COUNTIFS($区分,"義務",$前回実施日,"")

この3つの数字を毎月見る。全員の行を追う必要はない。期限の管理を月次の作業に組み込む形は月次の締めの記事と同じで、いつ見るかを先に決める。

一覧に持つ列は7つ

人ごとに1行の表にする。列を固定しておくと、毎年の更新が入力だけで済む。

氏名、週の所定労働時間、契約の期間、深夜業の有無、前回の実施日。この5つを入力する。残りの2つ、区分と次回の期限は式で出る。

正社員の週所定労働時間は、表の外のセルに1つ置いて全員がそれを参照する。就業規則を変えたときに1か所だけ直せばいい。

深夜業の有無は、シフトの実績から決める。たまたま1回夜勤に入った人が該当するかどうかは判断が要るので、常時従事しているかで見る。迷ったら所轄に聞く。

前回の実施日は、雇入時の健康診断を受けた日から始まる。入社時に受けていれば、その日が起点になり、1年以内に次を受ける。入社日ではない。ここを入社日で管理すると、入社から健診まで2か月空いた人の期限が2か月早く出る。

入社の手続きのときに、この行を作る。あとから追加すると、前回の実施日が空のまま残る。上の10人では該当者がいなかったが、記録のない義務者を数える式は入れておく。

実施したあとにやることが6つある

受けさせて終わりではない。リーフレットには実施後の取組事項が6つ挙がっている。

1つ目は結果の記録だ。健康診断個人票を作成し、それぞれの健康診断によって定められた期間、保存しておかなくてはならないと書かれている。

2つ目は医師等からの意見聴取。異常の所見がある労働者について、健康を保持するために必要な措置を医師に聞く。

3つ目は実施後の措置で、意見を勘案して必要があれば作業の転換や労働時間の短縮といった措置を講じる。

4つ目は労働者への通知。5つ目は保健指導で、特に健康の保持に努める必要がある労働者に対し、医師や保健師による保健指導を行うよう努める。

6つ目が報告だ。定期のものに限り、結果を遅滞なく所轄労働基準監督署長に提出する。リーフレットには、定期健康診断などの結果報告書については常時50人以上の労働者を使用する事業者と書かれている。

労働時間の短縮という措置は、36協定の上限管理とつながる。上限の見方は36協定の記事に書いた。

踏んだ失敗

夜勤のある人を年1回で回していたことがある。特定業務従事者という言葉から、化学物質を扱う職場の話だと思い込んでいた。深夜業がその一覧に入っていると知らなかった。

パートの対象を人数や雇用形態の名前で決めていたこともある。正社員かパートかではなく、週の所定労働時間の割合で決まる。週30時間の人が対象外になっていた。

受診率だけを見ていた年もある。義務の人が全員受けていれば問題ないと考えていたが、期限の日付を追っていなかった。年度内に受けていても、前回から1年を超えていれば遅れている。

雇入時の健康診断を省いたこともある。入社前に本人が受けた健診の結果を出してもらったが、項目が足りていなかった。入社時に何を確認するかは、有給の付与日と同じで入社日から逆算して決めておく。付与日の出し方は有給休暇の記事に書いた。

確認していないこと

個人票の保存期間は、今回読んだリーフレットには「それぞれの健康診断によって定められた期間」としか書かれていなかった。定期健康診断は5年という案内を見かけたが、条文で確かめていない。上の表では60か月で計算しているので、自分の職場の期間に置き換えてほしい。

健康診断の項目そのものも扱っていない。年齢による省略の基準がリーフレットに載っているが、医師の判断が入る部分なので、健診機関に確認する。

費用の負担と、受診にかかった時間を労働時間として扱うかどうかも確認していない。

契約期間の条件について、すでに1年以上引き続き雇用した実績がある場合の数え方も読み切れていない。更新を繰り返している人は所轄に確認してほしい。

出典(2026年9月21日確認): 厚生労働省のリーフレット 労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう、新潟労働局のリーフレット パートタイム労働者の健康診断を実施しましょう

健康診断労働安全衛生法労務パート深夜業