24時間動かしっぱなしにするなら、VPSを借りるのと自宅のPCをつけっぱなしにするのと、どちらが安いのか。
答えは、そのPCをすでに持っているかどうかで変わる。持っているなら電気代だけなので自宅が安い。ただし3年で3,744円しか違わない。新しく買うなら、本体代が効いて逆転する。
以下の料金は、2026年9月21日に各社の公式の料金ページで確かめた。電気の目安単価は全国家庭電気製品公正取引協議会のページで確かめた31円/kWh(税込)を使った。計算はMicrosoft 365のExcel(バージョン16)で行った。VPSでの運用そのものは試していない。
電気代は消費電力から出る
計算は1本だ。消費電力をワットで入れる。
=ROUND(消費電力/1000*24*30*31,0)
/1000でキロワットに直し、24時間の30日分に単価を掛ける。31円は目安単価で、協議会のページには令和4年7月22日に改定した値だと書かれている。経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会が公表する集計値などに基づく、とも書かれている。実際の単価は契約先で変わる。
消費電力ごとに出した結果がこれだ。
| 消費電力 | 電気代(月) | 本体の月割 | 合計(月) | 3年の合計 |
|---|---|---|---|---|
| 15W | 335円 | 2,500円 | 2,835円 | 102,060円 |
| 30W | 670円 | 2,500円 | 3,170円 | 114,120円 |
| 60W | 1,339円 | 2,500円 | 3,839円 | 138,204円 |
| 100W | 2,232円 | 2,500円 | 4,732円 | 170,352円 |
本体の月割は、9万円のPCを3年使う前提で出している。自分の金額に置き換えてほしい。
VPSは同じ2GBでも2倍以上違う
借りる側の料金を公式ページで確かめた。どちらも税込の表示だ。
ConoHa VPSは、2GBのプランが時間課金で月2,033円、12か月のまとめ払いで月774円。1GBなら12か月で月506円、4GBなら月1,415円になる。
さくらのVPSは、2GBが石狩で月1,738円、大阪で月1,848円、東京で月1,958円。1GBは石狩で月880円、4GBは石狩で月3,520円。初期費用は無料と書かれている。
同じ2GBでも、774円と1,738円では2.2倍だ。契約の期間とリージョンで変わるので、比較するときは条件をそろえる。
電気代だけなら自宅、本体込みならVPS
30WのPCで比べる。電気代は月670円。ConoHa VPSの2GBは12か月払いで月774円。電気代だけなら自宅のほうが月104円安い。
ここに本体代を足すと反転する。9万円を3年で割ると月2,500円。合計は月3,170円になり、VPSの4倍を超える。3年の総額では114,120円と27,864円で、差は86,256円だ。
分かれ目の金額も出せる。
=ROUND((VPSの月額-電気代)*3*12,0)
3,744円と出た。3年使う前提なら、本体が3,744円を超えた時点で自宅のほうが高くなる。つまり、このために新しくPCを買うという選択は成立しない。
逆に、すでに持っているPCを使うなら、増える費用は電気代だけだ。その場合は自宅が安い。ただし差は3年で3,744円、月にすると104円になる。停電と再起動の手間をこの金額で引き受けるかどうか、という話になる。
5か月目からは、まとめ払いのほうが安い
同じプランでも、払い方で2.6倍になる。ConoHa VPSの2GBは、時間課金なら月2,033円、12か月のまとめ払いなら月774円だ。
試す期間は時間課金で借りて、続けると決めてから切り替える。その分かれ目を計算した。
12か月分の総額は9,288円。時間課金の月2,033円で割ると4.57か月になる。5か月目に入った時点で、まとめ払いのほうが安くなる計算だ。
3か月のまとめ払いなら月918円で、総額2,754円。時間課金だと1.35か月で超える。2か月使うと決まっているなら、3か月のまとめ払いにしたほうが安い。
さくらのVPSは、12か月を一括で払うとおよそ1か月分が安くなると書かれている。2GBの石狩なら、毎月払いの12か月が20,856円、一括なら19,118円。差は1,738円になる。
3年で見ると会社の差が効いてくる。ConoHaの2GBを12か月払いで3年続けると27,864円、さくらの2GB石狩を毎月払いで3年続けると62,568円。差は34,704円だ。条件をそろえて比べると、月額の数百円が3年で3万円を超える。
自宅で動かすなら、止まらない設定を先に見る
自宅のPCを使う場合、費用より先に止まる要因を潰す。よくあるのは3つだ。
1つ目はスリープと画面の電源だ。電源オプションで、スリープを「なし」にする。ノートPCなら、ふたを閉じたときの動作も「何もしない」にする。ここが既定のままだと、ふたを閉じた時点で止まる。
2つ目が自動更新の再起動だ。更新の時間帯を、動かしていない時間に寄せる。完全に止めるのは勧めない。再起動したあとに自動で立ち上げ直す仕組みを用意するほうがいい。
3つ目が回線だ。ルーターの再起動やIPの切り替わりで通信が途切れる。外から接続する使い方をするなら、ここが効く。
VPSに移すと、この3つは相手側の管理になる。移して消える手間はここで、逆に増えるのは接続と設定の手間だ。費用の差が月100円前後なら、判断はこちらの手間で決まる。
サーバー代とAIの利用料は別
ここを混同すると見積もりがずれる。VPSの月額はサーバーを借りる費用であって、AIを使う費用ではない。
VPSの上で動かしても、利用枠はプラン側で減る。5時間のローリング枠と週の枠は、動かす場所を変えても同じだ。枠の減り方を数えた話は上限とリセットの記事に書いた。24時間動かすなら、費用より先にこちらの枠に当たる。
つまり、VPSを借りて浮くのは電気代と机の上の場所であって、AIの利用料ではない。この2つを足して比べると、どちらの案も実態より安く見える。
止まったときに誰が気づくか
費用だけで決めると、あとで効いてくるのがこれだ。
自宅のPCは、停電と回線の切断と自動更新の再起動で止まる。止まったことに気づくのは、次に画面を見たときになる。夜間に動かしている場合、朝まで止まったままになる。
VPSは自宅の電源と回線から切り離せるが、止まらないわけではない。どちらにしても、止まったことを知らせる仕組みが要る。
もう1つ、VPSに置くなら何を置くかを決めておく。手元のファイルを持っていくことになるので、会社の書類を扱うなら範囲を決める。どこまで触らせるかの考え方は会社のPCで使うときの記事に書いた。
見積もりで踏んだ失敗
電気代だけを見て、自宅で十分だと結論を出しかけた。月670円と月774円を並べて、自宅が安いと判断した。本体代を入れていなかった。すでに持っているPCを使う話と、新しく用意する話を混ぜると、この間違いが起きる。
消費電力を定格で計算したこともある。電源の定格が650Wだったので、それで計算して月15,000円という数字を出した。実際に動いているときの消費はもっと小さい。定格は上限であって、常時その値で動くわけではない。測るなら電力計を挟む。上の表を消費電力ごとに並べたのは、自分の値を当てはめてもらうためだ。
使う年数を決めずに比較したこともある。本体代を月割にするには年数が要る。1年で割ると月7,500円、5年なら月1,500円になり、結論が変わる。何年使うかを先に決めてから比べる。
どこまでを費用に入れるかは、任せる仕事の切り分けと同じで、先に線を引く必要がある。線の引き方はAIに任せる判断の記事に書いた考え方が使える。
確認していないこと
VPSを実際に借りて動かしていない。動作の速さ、回線の安定、設定にかかる手間は確認していない。ここで比べたのは費用だけだ。
必要なメモリの量も確認していない。上では2GBで比べたが、何GBあれば足りるかは動かすものによる。足りないと落ちるので、実際に借りるときは小さいプランから試して上げる。
各社の料金は改定される。上の数字は2026年9月21日時点で公式ページに出ていたもので、契約の前に自分で見てほしい。キャンペーンの割引も入れていない。
電気の単価も31円という目安を使っただけだ。契約している会社の単価を入れると結果が変わる。基本料金と燃料費調整額も入れていない。



