チェックリストの作り方。起きたミスを4種類に分けて、項目を28から9に減らした

2026-09-20仕事の型

請求書を送る前のチェックリストは、28項目あった。ミスが起きるたびに1行足してきた結果で、印刷するとA4の半分を埋める。ところが添付漏れは止まらなかった。3か月で2件。理由は簡単で、28項目を毎回読む人がいなかった。私も含めて、上から順にチェックを付ける作業になっていて、目は項目を読んでいない。

作り直したリストは9項目で、それから添付漏れは起きていない。減らせたのは、項目をミスの種類で分けたからだ。この記事は、その分け方と型、Excelで判定と記録をする式を書く。式は2026年9月20日にMicrosoft 365のExcel(バージョン16)で確かめた。

項目が増える理由と、読まれなくなる理由

ミスが起きると、再発防止として項目を足す。足す基準はあるのに、消す基準がない。だから増える一方になる。項目が増えると、1項目あたりに使う注意が薄まり、チェックは「付ける作業」になる。28項目の中に本当に効く項目が5つあっても、残り23項目に埋もれる。

もう1つ、チェックリストが読まれるのは、戻れなくなる直前の1回だけだ。請求書なら送信ボタンを押す前。その場面で読めるのは、せいぜい10項目。それより長いリストは、場面に合っていない。

ミスは4種類しかない

3か月分のミスを書き出して並べると、原因は4つに分けられた。

抜け。添付を付け忘れる、行を1つ書き忘れる。あるべきものがない。

取り違え。別の会社の宛名を入れる、金額の桁を1つ間違える。あるが、別のものになっている。番号の重複もここに入る。

古い値。前回の税率のまま、移転前の住所のまま。あるが、更新されていない。

順番。締めの前に発行する、承認の前に送る。1つ1つは正しいが、順序が違う。

種類ごとに、効く確認のやり方が違う。抜けは「数を数える」。添付は1件、明細は12行、と数で確かめる。取り違えは「2つを並べて見る」。宛名と台帳を同じ画面に出して見比べる。古い値は「元を今日見る」。税率と住所は、記憶ではなく台帳の今日の値を見る。順番は「前の工程の印を見る」。締めの完了印があるか、承認のメールがあるか。

28項目のうち、同じ種類の確認が別の言い方で何度も入っていた。「宛名を確認」「社名を確認」「敬称を確認」は、全部「宛名を台帳と見比べる」1項目で足りる。

9項目の型

作り直したリストがこれだ。列は、項目、種類、見る場所、起きた回数の4つ。

請求書 送付前チェック(送信ボタンを押す直前に)

No. 項目                                        種類      見る場所                    90日で起きた回数
1   宛名と敬称を、請求書台帳の今日の値と見比べた        古い値    台帳の「宛名」列              2
2   合計金額が、売上集計表の当月合計と一致(桁を読み上げ) 取り違え  集計表のセル、電卓             1
3   税率と軽減税率の有無を、品目一覧で見た              古い値    品目一覧の「税率」列           1
4   請求番号が台帳の連番の次で、空き番がない            取り違え  台帳の最終行                 0
5   明細の行数が納品書の行数と同じ                     抜け      納品書                      0
6   PDFの2枚目にはみ出していない                      抜け      印刷プレビュー                0
7   送付先アドレスを、台帳の今日の値と見比べた          古い値    台帳の「送付先」列             1
8   添付が1件付いている(件数を見る)                  抜け      送信画面の添付欄              2
9   締め処理の完了印がある(先月分は締め済み)           順番      月次締めチェック表             0

項目は「何を、何と見比べるか」まで書く。「宛名を確認」では、見る人が何をすればいいか決まらない。「台帳の今日の値と見比べる」なら、台帳を開く動作が決まる。1項目は1動作。2つの動作が要るなら2項目に分ける。

右端の「起きた回数」は、ミスの記録から90日分を数えて入れる。ここが減らすための列で、後述する。

減らして何が変わったか

項目が28から9になって、送付前の確認は8分から2分になった。項目を読む時間より、台帳や集計表を開く時間のほうが長い。添付漏れは、8番の「件数を見る」にしてから起きていない。「添付を確認」だった頃は、付いているつもりで送っていた。数を見るのと、あるつもりで見るのは別の動作だ。

減らすときの決め方は、起きた回数で機械的にやる。90日で0回の項目は消す候補にする。ただし、起きたときの損害が大きい項目は残す。金額の桁と税率は、3か月で1回ずつしか起きていないが、起きると取引先への再発行になるので残した。番号の重複は、台帳を連番の式にしてから起きていないので、項目からは外して式に任せた。

場面が違えばリストを分ける

送付前の9項目とは別に、請求書を作り始める前のリストを3項目だけ持っている。先月分の締めが終わっている、台帳の宛名と送付先が今月更新されている、売上集計表の合計が営業の数字と合っている。この3つは、作り始めてから気づくと作り直しになるので、作る前に置く。送付前のリストに混ぜると、送る場面で「締めは終わっているか」を読むことになり、読む側は素通りする。場面ごとに、その場面で戻れなくなることだけを並べる。

誰が付けるかも決めておく。作った本人が付けると、確認ではなく記憶の照合になる。私の職場では、作った人と送る人が同じなので、作ってから30分以上あけて付けることにしている。時間をあけるだけで、宛名の見比べで1回引っかかった。Excelで運用するなら、付けた日時の列を足して、作成の日時と30分以上離れているかを見る。

Excelで判定と記録をする式

紙で運用してもいいが、私はExcelに載せている。理由は2つ。判定を式にできることと、ミスの記録から回数を自動で数えられること。

チェックの列にTRUEとFALSEを入れる(Microsoft 365ならセルにチェックボックスを入れられる)。判定は次の式で、全部済んだときだけ「送付可」と出す。

=IF(COUNTIF(B2:B10,TRUE)=COUNTA(A2:A10),"送付可","未完了"&COUNTA(A2:A10)-COUNTIF(B2:B10,TRUE)&"件")

7項目のうち4つがTRUE、1つがFALSE、2つが空欄の状態で「未完了3件」、全部TRUEで「送付可」と出た。空欄はFALSEと同じ扱いになるので、チェックを付け忘れた行も未完了に数える。

同じことを =IF(AND(B2:B10),"送付可","未完了") と書きたくなるが、これは新しい月に全部が空欄の状態で値のエラー(#VALUE)になる。ANDは論理値のないセルを無視するので、範囲に論理値が1つもないと判定できない。確かめると、全部空欄でANDの式はエラー、COUNTIFの式は「未完了7件」だった。月初にエラーが出ている表は、それだけで信用されなくなる。COUNTIFのほうで書く。

記録は別のシートに、日付、種類、内容の3列で残す。日報の「起きたこと」からミスの行だけを写す。回数の列はCOUNTIFSで数える。

=COUNTIFS(ミス記録!B:B,"古い値",ミス記録!A:A,">="&TODAY()-90)

サンプルの記録6件で、古い値が2、抜けが2、重複が0と出た。重複の1件は5月で、90日より前なので数えられていない。この0が「消す候補」の合図になる。

紙で回す職場なら、9項目を1枚に印刷して送付の場所に貼り、起きた回数の列は月末に正の字で足す。3か月ごとに、正の字がない行に線を引いて消す。Excelにする理由は自動で数えることだけなので、数える手間が気にならない規模なら紙で足りる。

作る手順

  1. 直近3か月のミスを、日付と内容で書き出す。日報かメールの記録から拾う。10件もあれば足りる。
  2. 1件ずつ、抜け・取り違え・古い値・順番のどれかに分ける。分けにくいものは、起きたときに何をすれば防げたかで決める。
  3. 種類ごとに、防げた動作を1項目にする。「何を、何と見比べるか」「何を数えるか」まで書く。
  4. 項目を、戻れなくなる直前の場面に置く。送信ボタンの前、印刷の前、承認に回す前。場面が違えばリストも分ける。
  5. 起きた回数の列を付け、3か月ごとに0の項目を見直す。損害が大きいものは残し、それ以外は消す。

チェックリストは、作った日が一番長い。あとは減らしていく。3か月で0回の項目を消せないなら、その項目は「起きたら困る」ではなく「消すと不安」で残っている。不安で残した項目が、読まれないリストを作る。

ミスの記録は、日報の型で書いていれば「起きたこと」の行から拾える。引き継ぎ書の「例外と、過去に起きたトラブル」の区画も、同じ記録から作れる。

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